LaTeX文書に回路図を挿入したい
LaTeX文書に挿入する図を作成したいの項では、OpenOffice.org Draw で作成した図をEPS形式に出力する方法を解説しました。しかし、例えば電気系のレポートを書く場合など、電気回路・電子回路を図として載せる必要が出てくる場合もあるでしょう。このような場合はDrawだけでは対処できません。
そこで、別のフリーウェアの手を借ります。水魚堂さんの回路図エディタBSch3Vです。
必要なソフトウェア
- OpenOffice.org Draw
- 回路図エディタBSch3V
動作確認環境: Windows Vista, OpenOffice.org Ver 3.1.2, BSch3V 0.67.04
BSch3Vのインストール
BSch3Vのページより、 「回路図エディタBSch3V」の「最新版」の項にある「BSch3Vパッケージ ******版 ランタイムライブラリ付き」をダウンロードします(****** には数字が入る)。ZIP形式なので、お好きなアーカイバ(Windows標準の機能でも可)を使って解凍してください。
あとは、収録されているREADME.htmファイルを参照してください。
作成手順
BSch3Vを起動します。
画面上部の「パーツ」(左から6番目のトランジスタのアイコン)をクリックするか、[ツール]メニュー→[パーツ]を選択したあと、図面上のパーツを挿入したい場所をクリックしてください。パーツの選択画面が現れますので、挿入したいパーツを選択してください。
以下はよく使用するパーツの選び方です。参考にしてください。
パーツ | ライブラリ | 名前 |
---|---|---|
電池 | DISCRETE | BATTERY ? BATTERY4 |
電源 | DISCRETE | VCC |
接地(アース) | DISCRETE | GND ? GND3 |
抵抗 | DISCRETE | R |
コンデンサ(キャパシタ) | DISCRETE | C |
可変(バリアブル)コンデンサ | DISCRETE | VC |
コイル(インダクタ) | DISCRETE | L |
ダイオード | DISCRETE | DIODE |
直流電圧計 | DISCRETE | DCV-METER |
交流電圧計 | DISCRETE | ACV-METER |
直流電流計 | DISCRETE | DCA-METER |
交流電流計 | DISCRETE | ACA-METER |
その他、DISCRETEライブラリにはトランジスタやMOSFETなども収録されていますし、論理素子はLOGIC74ライブラリにまとめて収録されてい ます(名前は74シリーズにおける型番で探します[例: NAND素子なら7400])。オペアンプなどはANALOGライブラリにあります。
パーツを選択して[OK]ボタンを押すと、図面にそのパーツが追加されます。
追加されたパーツは、画面上部、左から4番目の矢印アイコン(「セレクタ」)をクリックした後、マウスでドラッグ&ドロップすることで移動することができます。
パーツを90度回転させたい場合は、図面上にあるパーツを右クリックし、[回転]をクリックしてください。
また、例えば抵抗であればパーツの右下に「R」という文字が付きます。これは編集することでパーツの名前や抵抗の値を書き込むことができます。図面上のパーツをダブルクリックすると「パーツのアトリビュート設定」ウィンドウが表示されます。「番号」「値または名前」のそれぞれの欄に適切な値を入力してください。もしこれらの情報が不要な場合は、空欄にしておくか、2つの「非表示」チェックボックスをオンにしてください。
パーツ以外に必要なものは、やはりワイヤー(導線)でしょう。これはメインウィンドウ上部、左から8番目(「ワイヤー」)のアイコンをクリックすると挿入でき ます。アイコンをクリックしたあと、回路図上をドラッグ&ドロップすると、そこに導線が引かれます。ここからは縦か横の導線しか引けませんが、斜めの導線 が引きたい場合は、一旦始点と終点を目的のところにした導線(途中は曲がっていてもよい)をまず引きます。その後、左から5番目(「ドラッグ」)のアイコ ンをクリックし、今引いた導線の曲がっている部分をクリックした後、それをドラッグ&ドロップします。
パーツを削除したい場合は、そのパーツを左クリックし、続いて同じ場所で右クリックし「削除」を選択します。導線を削除したい場合も、削除したい導線を左クリック、右クリックで「削除」を選択してください。
以上は非常に簡単な使い方です。詳しくはBSch3Vのマニュアルを参照してください。
回路図が作成できたら、[ファイル]メニュー→[メタファイル出力]を選択します。適当な名前を入力して保存してください。拡張子はEMFとなります。
ここまででBSch3Vの出番は終了です。これ以降はOpenOffice.org Drawの出番となります。
OpenOffice.org Drawを起動し、出てきた図面に今出力したEMFファイルをドロップしてください。図面上に作成した回路図が現れれば成功です。
ただ、この回路図には周囲に枠がついていて邪魔ですので、「トリミング」を行います。回路図を左クリックし、次いで右クリックした後、「トリミング」メニューをクリックします。
ダイアログ右上のプレビューを見ながら「左」「右」「上」「下」欄の値を調整し、周囲の枠や余白ができるだけ小さくなるようにします。それができれば[OK]ボタンを押します。
あとは、できた回路図を選択し、LaTeX文書に挿入する図を作成したいと同様の方法でEPSファイルに出力します。その後の手順は全く同じです。