キングボンビーの「パネル・アタック」
「桃太郎電鉄」シリーズのキャラクター「キングボンビー」の悪行の1つ「パネル・アタック」は、「サイコロを1個ずつ振り、同じ目が出ることなく1〜6を出せればクリア」というルールです。同じ目を出してしまうと、それまでに振ったサイコロの個数に比例する罰金を取られます(成功した場合も賞金はありません)。ゲームに成功する確率、罰金の平均値(期待値)はいかほどになるでしょうか?
※高校数学程度の確率の知識を前提に説明します。
ゲームに成功する確率
これは割と簡単に求められます。6個のサイコロに番号を付け、それらを同時に振ったとき、1〜6の目が1つずつあるときに成功する、と考えればよいわけです。
- 出目の場合の数は 66 = 46656
- うち、1〜6が1つずつある出目の場合の数は 6! = 720
- よって、成功する確率は 720/46656 = 5/324 (≒ 0.0154)
以上のように求まります。テストに出るかもしれませんね。(^^;; というより、1.5%ほどしか成功しないという非常に無茶なゲームだということです。
罰金の期待値
ゲームに失敗した時に取られる罰金は、そのときの年数により決まる定数 K と、失敗するまでに振ったサイコロの数 n により nK 円と定まります。つまり、2回目で失敗したとき(2回続けて1を出すなど)の罰金が8000万円(K=4000万)ならば、同じ年に6回目で失敗した(1,2,3,4,5,5と出すなど)ときの罰金は2億4000万円となるわけです。これを前提に、罰金の期待値を求めてみます。
まず、当然ながら1回目で失敗ということはありません。
2回目で失敗するということは、1回目に出した目をまた出すということです。1回目の出目が何であろうと、2回目に1回目と同じ目を出す確率は 1/6 なのですから、2回目で失敗する確率は 1/6 となります。
3回目で失敗するとすれば、2回目で失敗せず、かつ3回目で過去2回の出目のうちいずれかを出したときです。2回目で失敗しない確率は 1 - 1/6 = 5/6 であり、(3回目がある場合に)3回目で過去2回の出目のいずれかを出す確率は 2/6 = 1/3 となりますので、結局3回目で失敗する確率は 5/6 × 1/3 = 5/18 ということになります。
3回目までに失敗しない確率は 1 - 1/6 - 5/18 = 5/9、(4回目がある場合に)4回目で過去3回の出目のいずれかを出す確率は 3/6 = 1/2 なので、4回目で失敗する確率は 5/9 × 1/2 = 5/18。
4回目までに失敗しない確率は 1 - 1/6 - 5/18 - 5/18 = 5/18、(5回目がある場合に)5回目で過去4回の出目のいずれかを出す確率は 4/6 = 2/3 なので、4回目で失敗する確率は 5/18 × 2/3 = 5/27。
5回目までに失敗しない確率は 1 - 1/6 - 5/18 - 5/18 - 5/27 = 5/54、(6回目がある場合に)6回目で過去5回の出目のいずれかを出す確率は 5/6 なので、6回目で失敗する確率は 5/54 × 5/6 = 25/324。
そして、成功する確率は 1 - 1/6 - 5/18 - 5/18 - 5/27 - 25/324 = 5/324 となり、最初に求めた値とちゃんと一致しますね。ついでに、3回目と4回目で失敗する確率が最も高いということも分かります。
以上の結果を考えれば、罰金の期待値は定数Kを用いて、
(5/324) × 0 + (1/6) × 2K + (5/18) × 3K + (5/18) × 4K + (5/27) × 5K + (25/324) × 6K = (11/3) K
となります。平均的に、4回目で失敗したときの罰金に近い額を取られることになりますね。